本の覚書

本と語学のはなし

放下著【読書メモ/ラテン語】

日暮れみち遠し。吾が生すでに蹉跎さだたり。諸縁を放下ほうげすべき時なり。信をも守らじ。礼儀をも思はじ。この心をも得ざらん人は、物狂ぶっきょうとも言へ。うつつなし、情けなしとも思へ。謗るとも苦しまじ。誉むとも聞き入れじ。(徒然草112段)

日は暮れても行く先は遠い。わが生涯は挫折ばかりであった。すべてのしがらみを捨て去るべき時である。信義も守るまい。礼儀も考えまい。この気持ちを理解できない人は、私を狂人とでも言うがよい。正気を失い、人間らしいやり方を失った、とでも思うがよい。非難されても苦しむまい。褒められても耳に入れるまい。(p.340-341)

 飲み会に出ざるを得なくなったというだけで、こういう言葉に感じ入るというのは、私が中二のような子供だからか。

Quomodo ardebam, deus meus, quomodo ardebam revolare a terrenis ad te, et nesciebam quid ageres mecum ! (Confessions 3.4.8)

わたしの神よ、わたしはどんなに熱望したことであろう。地上からあなたのもとにとびかえろうとどんなに熱望したことだろう。しかもわたしは、わたしをどのようになさろうとしておられるのか、まだ知らなかった。(上p.71)


 関係のない話であるが、パウロの書簡を読んでいたら、新共同訳が嫌になってきた。「義とされた者の希望が実現する」(ガラ5 :5)とか「愛の実践を伴う信仰」(同5 :6)とか、もう完全にアカンのではないか。


Confessions, Volume I: Books 1-8 (Loeb Classical Library)

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  • 作者:Augustine
  • 発売日: 1912/01/15
  • メディア: ハードカバー
告白 上 (岩波文庫 青 805-1)

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