本の覚書

本と語学のはなし

ローマ教皇歴代誌/高橋正男監修、P. G. マックスウェル・スチュアート著

ローマ教皇歴代誌

ローマ教皇歴代誌

 ペトロからヨハネ・パウロ2世まで263人のローマ教皇の生涯と事蹟を紹介する本。
 ローマ教皇はローマ司教である。イエスが教会の礎石として据えた(と信じられている)ペトロがローマにやってきて司教(のようなもの)になった。ローマの司教が他の司教に優位を持つのは、イエスによってペトロに与えられた特別の権能が歴代のローマ司教たちに受け継がれているからである。これがカトリックの立場だ。
 しかし、最初は激しい迫害に風前の灯であった教会も、世俗における地位を確保するにつれ、否応もなく政治状況の中に巻き込まれていく。教皇も世俗化せざるを得なかった。おそらく大多数の教皇は(信じているとすれば)最後の審判を恐れなくてはならないだろう。

 ヨハネス・パウルス2世は次の一千年紀(ミレニアム)へ教皇職を導くと宣言したが、その通りになるかどうかはともかく、教皇座が始まりに立ち返ることは確かだろう。「わたしの子羊を養いなさい」「わたしの羊を飼いなさい」との命により2000年前に創始された教皇職は、牧者から帝国の権力者にのしあがり、そしてイタリアの君主的地位を経験したのち、再び牧者としての使命に戻ってきた。次の1000年を始めるにふさわしい場所へ立ち返ったのである。
“わたしの終わりにわたしの始まりがある”(p.292)

 カトリックはもう終わりなのか。あるいはまだ始まったばかりなのか。

これから

 キリスト教関連の書籍は、しばらくマクグラスの『キリスト教神学入門』(教文館)に専念する。分厚い本をちびちび読んできたが、まだ半分にも達していない。当面本の感想も書けない。
 だが、それでは脳の働きが不活発になりそうなので、時々別の分野の本を挟むことにしよう。