- 作者:福本 武久
- 発売日: 2012/08/27
- メディア: 文庫
新島襄が同志社大学を作るために奔走する様子を、主として妻の八重の視点から描いた歴史小説。
私がもし教会に行くとすれば、アメリカン・ボードの流れを汲むところを第一候補とする。アメリカン・ボードというのは新島襄が属していた宣教団体で、もとは無教派であったが、やがて会衆派のみの機関となったものだ。日本では後に日本組合基督教会を発足した。神学的にはリベラル。現在は日本基督教団に統合されている。
そんな訳で期待して読んだのだけど、小説としては下の下。年表の行間に精彩のない会話を挿入した程度のものだ。文章は説明的で描写になっていないし、文体は単調で悪癖が目立つ。八重の内面に踏み込めば、なんとも安っぽい感情のインフレーションである。
結局一番面白かったのは、同志社大学神学部を卒業した佐藤優の解説である。