本の覚書

本と語学のはなし

ガフィオ

 アウグスティヌスの『告白』は順調。原文が割とやさしいし、キリスト教への関心が近年ないほど高まっているからだが、もう一つ、辞書をガフィオに替えてみたおかげでもある。今のところ載っていない単語はない。古典しかカバーしてないカッセルでは、そうはいかないだろう。
 学生時代、フランス語学を専門とする教授のラテン語の授業で、羅和辞典を卒業したらガフィオを使えと言われた。それで買いはしたものの、ずっと羅英ばかりを愛用した。
 パリを旅行した時、ガフィオの小辞典が売られているのを見つけて、思わず購入した。普段使うには手頃なサイズなのだが、文字が小さすぎて中年の眼にはつらい。今使っているのは、学生時代から持っている、紙の黄ばんだ大きな辞書の方である。
 羅仏をメインにするのはこれが初めだ。例文には全て仏訳がついている。

noli abscondere a me faciem tuam: moriar, ne moriar, ut eam videam. (1.4)

あなたのみ顔をわたしからかくさないようにしてください。わたしは、死ぬことのないように、あなたのみ顔を仰ぎ見るために死のう。