本の覚書

本と語学のはなし

詩ってなんだろう/谷川俊太郎


 小学校の国語教科書に危機感を覚えて、谷川俊太郎が作った、やさしい詩の入門書。詩ってなに? という問いには詩で答えるしかない、というのが、谷川の考えだ。わらべうた、いろはうた、ことわざ、なぞなぞ。音だけでも訴えかける力がある。アクロスティック、つみあげうた。言葉とどんどんあそんでみよう。自分で楽しみ、他人も楽しませる。これこそ詩の大本なんだといわんばかり。
 最後はちょっと難しくなって、詩ってなんだろう? と正面から向き合った詩が並ぶ。でもまあ、とっつきにくくはない。

   詩 又又又         堀口大学


 一人の心に灯をともす
 別の一人に欠伸をさせる


 いや、まったくその通り。私なんかはいつでも欠伸ばかりしていて面目ない。

   どうしていつも       まど・みちお


 太陽
 月
 星


 そして
 雨
 風
 虹
 やまびこ


 ああ 一ばん ふるいものばかりが
 どうして いつも こんなに
 一ばん あたらしいのだろう


 日々細胞は作り替えられているのだ。いつも我々は死んでは生きるのだ。天地の創造は今この瞬間にも行われているかもしれないのだ。

詩ってなんだろう (ちくま文庫)

詩ってなんだろう (ちくま文庫)