本の覚書

本と語学のはなし

『The Long Good-bye』


●Raymond Chandler『The Long Good-bye』(Penguin Books)
 連休中は『ロング・グッドバイ』が思った以上にはかどった。当たり前のことだが、あれこれつまみ食いせず絞り込んで集中すれば、もっと読める。英語とフランス語だけにしておくべきか。


 チャンドラーの文章は決して複雑ではない。口語表現が呆れるほど多用されている点を除けば、閉口するようなものではない。名文の誉れ高いが、私の好みからは少し外れる。全てのアメリカ英語が恐らくそうであるように。ただし、どれほどアメリカのスラングがちりばめられていようとも、その生い立ちによってチャンドラーの文章にはイギリス英語の香りがするのは事実である。


 ミステリーあるいはハードボイルドという分野に関しては、私はまるでそれを味わう舌を持たない。しかし、古典というものは常になにがしか退屈なものだ。必要以上に分厚いこの本がミステリー・ファンすら退ける側面を持っているだろうということは、私にも想像できる。村上春樹がそうであるように、細部の描写をこそ楽しまなくてはならない。


 翻訳は村上春樹の新訳を参照した。これについては特に言うことはない、ピリオド。


 『失われた時を求めて②』が途中になったまま放っておかれているので、とりあえずこれを終わらせる。その後また英語に戻る。いくつか候補はあるが、私が英語の師匠と勝手に決め込んでいる行方昭夫の翻訳があるものになるだろう。

The Long Good-bye (Phillip Marlowe)

The Long Good-bye (Phillip Marlowe)

【参照した翻訳】
ロング・グッドバイ

ロング・グッドバイ