本の覚書

本と語学のはなし

枕草子「むとす→むず」

 何事を言ひても、「その事させんとす」「言はんとす」「何とせんとす」と言ふ「と」文字を失ひて、ただ「言はんずる」「里へ出でんずる」など言へば、やがていとわろし。(186 ふと心おとりとかするものは


 「む」の強調表現としての「むとす」が「むず」に転じたのは平安中期らしい。中世以降は盛んに使われるようになった。しかし、清少納言の耳には下品に響いたようである。


 今年は文学へ回帰しただけでは満足せず、日本の古典にまで足を踏み入れた。これが一番の収穫ではないかと思う。このところ静かに本を読むことがなかなかできなかったが、最後はやはり『枕草子』から引用をしておいた。