最近はネット書店で買い物をすることがめっきり減ったのだけど、実際に手に取ってみた源氏の事典などはどれも物足りなかったので、中身を確かめることはできなかったけど、図版がたくさん収載されているという紹介を信じて、アマゾンで購入してみた。
京と宮殿、建築物、調度、乗物、衣服、色・文様、音楽・舞楽、遊戯・娯楽、信仰・宗教・俗信、年中行事・儀式、通過儀礼、貴族生活の諸相、植物・動物、付録の各項にわたって、たしかに写真や絵が満載である。
古典のテキストには多少とも注釈が付けられてはいるし、辞書の資料編に載っている図録でもある程度のことは視覚的に理解できるものの、『枕草子』を読んでいても想像力が及ばずもやもやと霞のかかっているような気がすることがあった。今ぱらぱらとめくっているだけでも、そうだったのかと思うことがたくさん見つかってありがたい。源氏に限らず、王朝文学全般を読む際にも役立つだろう。
廉価で手に入るなら欲しいもの。解説付き律令。系譜図つき人名事典。詳細な古典文法。書店に置いてある文法書は学習参考書ばかりで、それも最近はテストで要領よく点数を取るために必要最小限のことをゴロに合わせて記憶する類のものだけである。私の手元には紙が茶色く変色しかけた第一学習社の『対訳古典文法』があるが、このレベルですら今は入手しがたい。しかし、私が欲しいのは、たとえば「うまし国」についても説明してくれる本である。