本の覚書

本と語学のはなし

『わが子に教える作文教室』


清水義範『わが子に教える作文教室』(講談社現代新書
 著者の弟がかつて名古屋で経営していた学習塾では、小学生を対象とした作文教室を行っていて、著者もその添削に十数年にわたり参加していた(ふだんはファックスでのやりとり)。
 先ずは的確に褒め、ユーモアや遊びを推奨し、客観的な文章を書くのが得意な子には心理描写を強要せず、何よりも倫理を持ち込んで指導しない。楽しんで書かなくてはならないのだ。引用された豊富な文例を見ると、まだ大人の視線を意識することから逃れ切ってはいないものも多いけど、学校で書かされる作文とは明らかに違った豊かで秀逸な文章が多くて、読んでいても楽しいし微笑ましくなる。


 隣の市のY塾の小学生コースには「このとは教室」というユニークな授業があって、楽しみながら読書・作文・スピーチを学べるようになっている。1度に3つは欲張りすぎかもしれないけど、面白い試みだ。
 2か月前、この塾が正社員を1名募集していた。その頃はまだ本格的に塾講師になろうとは考えていなかったので応募しなかった。惜しいことをした。
 まあ、高校生向けの授業がないので、私には物足りないかもしれないし、就職したからといってそこが安住の地となるとは限らない以上、高校生に英語・国語(と可能ならば数学)を教える力が鍛えられないようでは今後生き残れないかもしれない。そう思って別の口を探すことにしよう。

わが子に教える作文教室 (講談社現代新書)

わが子に教える作文教室 (講談社現代新書)