本の覚書

本と語学のはなし

『システム現代文「解法公式集」』


●出口汪『システム現代文「解法公式集」』(水王舎)
 仰々しく公式と名付けているものの、ある程度本を読んでいる人なら誰でも既に身につけていることであって、ほとんど常識の範疇といっても過言ではない。それもでこういう本がありがたがられるのは、基本的な国語力のない人がたくさんいるせいなのだろう。
 一方で、試験にも問題があるのではないかと思う。例題として取り上げられた入試問題を見ていると、どうしてこうも悪文ばかり集め、悪問ばかり発するのかと呆れてしまう。芥子粒ほどの内容を、さも言語化しにくいことをなんとか言葉にしているとでも言いたげな怪しい日本語にくるんで、ごまかしているような文章を、どうしてわざわざ受験生に読ませなくてはならないのか。どの選択肢を選んだってとても正解とは思えないようなものばかり並べて、消去法で納得のいかない答えを求めさせるのはなぜなのか。国語教師をデルフォイの巫女のごとく崇め奉らせるためであるとしか考えられない。
 世の中には悪文というものがあり、悪問を出題する大学も多々あるということは知っておかなくてはならないが、将来身を助けることになるであろう国語力を鍛えるには、そんなものにかかずらってばかりいるよりも、本を読み文章を書くのに勝るものはないと考えるべきである。


 塾講師アルバイトの求人があった。以前メールのやり取りをしたところだ。*11日4時間、1カ月20日働けばそこそこのお金にはなるが、そんなに授業の空きがあるはずはない。応募するとすれば、少額でも稼ぎながら翻訳の依頼を待ったりトライアルを受ける、経験を積みながら他の塾で正社員の募集があるのを待つ、この塾で正社員に登用されるのを待つ、のいずれかを目指すことになるだろう。この塾では、一定期間経過後、非常勤講師は準社員へ、準社員は正社員へ登用するという制度がある。ただ週休1日のようなので、働くのが大好きというわけではない私にとっては魅力的な就職口ではない。
 明日か明後日には結論を出そう。

出口のシステム現代文 解法公式集

出口のシステム現代文 解法公式集

  • 作者:出口 汪
  • 発売日: 2006/03/01
  • メディア: 単行本