本の覚書

本と語学のはなし

Revenge of the Lawn


 リチャード・ブローティガン『芝生の復讐』から「1/3 1/3 1/3」の原文と藤本和子訳。

 My entrance into the thing came about this way: One day I was standing in front of my shack, eating an apple and staring at a black ragged toothache sky that was about to rain. (1/3, 1/3, 1/3 , p.11)

 わたしがこの一件に関わりを持つようになった成行はといえば――。ある日のこと、わたしはわたしの小屋の前に立って林檎を食べながら、いまにも降りだしそうな、黒いみそっ歯の痛みをこらえているみたいな空をじっと見上げていた。(「1/3 1/3 1/3」28頁)


 みそっ歯とは、虫歯で欠けて茶色く変色した子どもの歯、もしくは成長過程で歯と歯の間に隙間ができて黒く見える様を言うらしい。
 なんとなく後者の意味を思い浮かべることはできたので、全くの未知ではないはずだけど、初めて出会った言葉のように新鮮だった。


 ページ数を見ても分かる通り、あまり捗ってない。実戦モードへの切り替えが上手く行っていなくて、生活のリズムが大いに乱れたせいだろう。
 決して読みにくいというわけではない。それどころか、胸の躍るような感覚を覚えることがある。英語から得られるなんて思ってもいなかった感覚である。