本の覚書

本と語学のはなし

研修


 研修で近くの市に出かける。
 今さら研修を受けられる身分ではないのだが、無料だし、人数合わせの意味合いが濃いものでもあるし(つまり、動員である)、私が行ってきた。
 社会教育というのは私の柄じゃないなぁ、と改めて感じる。教育とか福祉とかの現場に通底する独特の雰囲気が苦手である。行き帰りのバスでは、車窓からずっと雲を眺めていたが、雲を眺める作業は思いのほか孤独であり、雲を愛する孤独な人間は教育にも福祉にも携わってはいけないのである。彼らがどれほど「他者」という言葉を使おうとも、レヴィナス風の「他者の顔」は徹底的に排除されているように思われる。「無」など「無い」に決まっているのである。
 地方公務員は、いつなんどきいかなる仕事を命ぜられるか分からないものであるけれど、希望通りの職に就かせてもらえるものなら、滞納整理が一番よい。徴税吏員は、自らの資格において(裁判所を通さずに!)差押をすることもできる。そういう絶大な権能の割に、役所内での立場は低い。滞納整理する人間は、既に自らが整理されてしまっている(あるいは整理されるべきものとして認識されてしまっている)のである。まあ、その方が気兼ねなく差押もできるのだろうが。


 納期限までに税金を納めない場合、20日以内に督促状が発行され、10日を過ぎてもなお未納であるときは、差押しなければならないものと定められている。実際には納期限から1か月程度でいきなり差押されることはあまりないけれど、仮にされても文句は言えないのでご用心。*1

*1:とはいえ、普通文句を言って来るであろうから、通常は何度か催告書を送ったりして、充分警告をしてから差押する。