本の覚書

本と語学のはなし

『日本語の源流を求めて』


大野晋『日本語の源流を求めて』(岩波新書
 ほんのちょっと拾い読みしただけ。
 日本の語の歩みは、簡単に書くとこういうことらしい。


縄文時代、西日本ではポリネシア語が使われていた。
タミル語が到来してヤマトコトバが作られた。
③ヤマトコトバは、南へ東へ、文明とともに広まった。
④北海道、東北地方のアイヌ語はヤマトコトバに同化し、江戸時代にはアイヌ語は北海道、千島、樺太へと退いた。
⑤九州南部の隼人語も次第にヤマトコトバ化し、12世紀頃には沖縄にもヤマトコトバが広まった。
タミル語到来によってヤマトコトバが成立した後、朝鮮半島から高句麗語がもたらされた。
⑦その後、朝鮮半島を経て漢字が伝来した。
⑧江戸時代、ポルトガル、オランダからヨーロッパ語が入った。
⑨明治以降、西欧文明の摂取にともない、英独仏語が日本語に加わった。


 タミル語というのは、南インドおよび北スリランカで行われている言語であって、それがヤマトコトバになったというのはいかにも突飛な気がするが、これはトンデモ本の類ではない。
 タミル語に「av-alam」という単語がある。vの音は、日本語のfとwに対応する。辞書では、「pathetic sentiment(感傷的心情)」と説明される。これは日本語の「あわれ」である。
 もちろんタミル語を日本語の源流とする根拠はそれだけではないのだが、私にはそれを検証する余裕がない。とりあえずは、結論だけインプットしておく。

日本語の源流を求めて (岩波新書)

日本語の源流を求めて (岩波新書)

  • 作者:大野 晋
  • 発売日: 2007/09/20
  • メディア: 新書