●柴田真一『金融英語入門』(東洋経済新報社)
細野真宏に教わった知識を補強しつつ、金融英語の「いろは」を学ぶ。
「ニューズウィーク」にしろ「ル・モンド」にしろ、金融の記事はなかなか読み進めることができなかった。というより、ほとんど読めてはいなかった。純粋に語学的な難度が高いというわけではなさそうだ。専門用語や独特の言い回し、金融の仕組みが全く分かっていなかったのである。
いくらなんでも入門書に即効性があるとは期待していなかったが、案外と経済の記事が軽くなった。
たとえばこんな文章。
Moody’s and Standard & Poor’s−which rate the credit-worthiness of bonds−allegedly weren’t tough enough on subprime mortgages. That fanned investor appetite.
サブプライムによる混乱の責任は誰にあるか、その容疑者の1つが格付け会社であって、彼らのおそらくは甘い評価が投資家の購買意欲を煽ったのだという主旨である。
ムーディーズやP&Sに注釈がついていることからも分かるとおり、専門家向けの文章ではないし、構文上難しい点は一切ないのだが、以前ならスラリと読むことはできなかったはずだ。全ての単語が分かりそうで分からないような気がしてくるのだ。そうなると、どこに理解できない原因があるのか分からないまま、全部の単語を辞書で確認しなおしてみるということにもなりかねない。
しかし、金融の実務に携わったことがない私には、まだ金融の世界はぼんやり霞んでいる。
これは最初の一歩でしかない。