本の覚書

本と語学のはなし

半降り

 調子がよくなってきたら、果たして辞職までする必要があっただろうかと首を傾げたくなった。しかし、話は既に人事課まで行っているはずであり、今さら撤回しようとは思わない。これまで辞めようと思いつめたことは一度や二度ではないのだ。今辞めなくても、いずれ辞めるに決まっている。辞めるなら今を逃してはならない。まだものを学ぶ体力のある内でなくてはいけない。
 空がきれいだ。この十数年、空を眺めたこともなかった気がする。おそらく私は人生を半分降りたのである。フルスロットルでは生きてゆけない。二重の意味で、私は棺桶に半分足を突っ込んで生きてゆくしかないのである。


 学生時代の友人F君は、日記を書くといつも為すべきことのリストになってしまうと言っていた。私にもその傾向があるようだ。
 英語とフランス語をマスターすること。哲学すること(原書講読は当面フランス語で)。道元を学ぶこと。政治、経済、歴史に精通すること。時々は文学も読むこと。いずれまた海外に旅すること。