本の覚書

本と語学のはなし

2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『海の仙人』

●絲山秋子『海の仙人』(新潮文庫) いきなりファンタジーなる神らしきものが現れるから、メルヘンだろうか、何かのパロディーだろうかと思って、福田和也が「偉大な作家の登場」というのもまた文庫解説の常套的誇張表現かと高をくくり始めたが、それなりに…

『ショートカット』

●柴崎友香『ショートカット』(河出文庫) 柴崎友香については、保坂和志が誉めているようだし、芥川賞の候補にも選ばれていることだし、期待していたのだが、収められた「ショートカット」「やさしさ」「パーティー」「ポラロイド」のどれもが今ひとつだっ…

『ニッポニアニッポン』

●阿部和重『ニッポニアニッポン』(新潮文庫) トキの密殺を謀るゆがんだ引きこもり青年の話。『金閣寺』みたいと思っていたら、阿部自身、三島由紀夫の『金閣寺』と大江健三郎の『セヴンティーン』(私は未読)という純文学同士の交配から不純文学の誕生を…

★『須賀敦子全集』1・2・4巻(河出文庫) ★埴谷雄高『死霊』Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ(講談社文芸文庫) ★多和田葉子『犬婿入り』(講談社文庫) ★池澤夏樹『異国の客』(集英社) ★G・ガルシア・マルケス『百年の孤独』(新潮社) 単なる購入日記になってきた。 現在文…

本・雑誌

★島崎藤村『破戒』(新潮文庫) 中学時代の懐かしい本。 社会的なテーマは好きではなかった。が、ときどき苦手なものを敢えて読まねばならないと思い立つことがあって、今考えるとどうして挑む気になったのか分らないのだが、島崎藤村の『破戒』やら大岡昇平…

★夢野久作『ドグラ・マグラ』上・下(角川文庫) ★井伏鱒二『黒い雨』(新潮文庫) ★武者小路実篤『友情』(新潮文庫) ★坂口安吾『堕落論』(新潮文庫) ★遠藤周作『沈黙』(新潮文庫) ★笙野頼子『笙野頼子三冠小説集』(河出文庫) ★村上春樹『レキシント…

『リトル・バイ・リトル』

●島本理生『リトル・バイ・リトル』(講談社文庫) 興に乗ってきたところでこういうものを挿んだりするから、『アンナ・カレーニナ』はいつまで経っても前に進まない。 ずいぶん地味な話だ。地味だが渋くはない。図書館ではたいていヤングアダルトに分類され…