本の覚書

本と語学のはなし

フランス語史/山田秀男

 フランス語史の概説的な簡単な入門書。各時代の細部に至るまで詳説してくれるものではない。
 古い時代のフランス語も、日本の古典よりは読みやすいのかもしれない。モンテーニュが登場する16世紀ともなれば、単語の綴りや意味、文章の統辞論にじゃっかんの違いはあるかもしれないが、現代語の知識だけでもなんとかなりそうである。
 実際、私も16世紀フランス語に対しては何の準備もしていなかったが、まあなんとかなっている。ラテン語の知識があるのは、有利な点であったろうけれど。


 16世紀フランス語を学ぶための必携書として、ユゲの『16世紀フランス語辞典』とグーゲネームの『16世紀フランス語文法』が挙げられている。実は両方とも持っている。そんな有名な本とは知らず、ただ古本で安く入手できるというだけで購入したものだ。
 辞書は使用している。現代フランス語の辞典でも、古い意味をけっこう載せてくれているからたいがい間に合うのだが、時々はちゃんと調べなくてはいけないこともある。
 文法は緊急の必要がないせいで、まったく読んでいない。だが、いずれは根本から学んでみたいと思っている。


 16世紀フランス語文法を学ぶ前に、現代フランス語、ギリシア語、ラテン語の基礎をもう一度学び直してみたいという気がする。高校時代に独学で始めたときに使った参考書――今では全く参照することもない本たちである――を、もう一度読み直してみたいというノスタルジックな気分に襲われたのである。