本の覚書

本と語学のはなし

アメリカ黒人の歴史/本田創造

アメリカ黒人の歴史 新版 (岩波新書)

アメリカ黒人の歴史 新版 (岩波新書)

 南北戦争公民権運動も一冊に収めたコンパクトな入門書。ただし、文章はちょっと読みづらい。

運動〔モントゴメリーのバス・ボイコット運動〕の成果について、キング牧師が、「それは黒人だけの勝利ではない。正義と良心の勝利である」と語っているように、このバス乗車拒否運動を闘いぬいた黒人民衆は、白人がそれを人種の問題としてとらえていたのにたいして、あくまでも人間の尊厳の問題――この国の憲法の理念にもとづいて、すべてのアメリカ人が当然、享受すべき自由、平等、正義のための市民的権利の問題として受けとめていたのである。この闘争が、まさに公民権運動と呼ばれる所以である。(p.179)

 しかし、バス・ボイコット運動の後にも、自由のためにバスに乗り込むフリーダム・ライド運動が必要であった。
 今もなお同じことが繰り返されている。公民権はなおも蝕まれており、白人すらなお蝕まれた公民権を享受しているに過ぎない。