本の覚書

本と語学のはなし

今日からわかる聖書ヘブライ語 聖書対訳シリーズの手引き/谷内意咲

 この本だけでヘブライ語聖書が読めるようになることはない。せいぜい簡単に文法の全体を眺めることが出来るといった程度である。初学者がこの本から始めるのは、あまりお勧めできない。
 副題にあるとおり、ミルトスのヘブライ語聖書対訳シリーズの手引きである。別の参考書で一通り文法を学んだ人が、ミルトスの本を使う場合にのみ、復習がてら手にするべき本だろう。


 今回一番参考になったのは、タアメー・ハミクラーの章。
 聖書本文には母音記号の他に、タアメー・ハミクラーと呼ばれる分離や結合を表す記号も書き入れられている。元々は朗読のための印であり、意味を取るためには母音記号ほどの重要性もないし、種類もやたらに多い。無視してもいいのだが(実際私はずっと無視してきた)、知っていると案外便利である。