見開き二ページで完結するので、物足りなかったり、飛躍しすぎていたり、はぐらかして終わらせようとしているだけではないかというものもあったりするのだけど、比較的リベラルなキリスト教がどういう方向に向かっているのかつかむには、ちょうどよい入門書である。
ちょっと刺激的なあたりでは、同性愛やセクシュアル・マイノリティをどう捉えるべきか。フェミニスト神学を専門とする山口里子は言う。
聖書〔創世記1:27など〕は、異性愛か同性愛か、子を持つか持たないかよりも、二人の関係を大切にして生きるように教えているのです。(p.110)
最近の聖書学では、現代の言葉で「セクシュアル・マイノリティ」と呼ばれるような人々を、イエスは受け入れて生活していたという理解が広がっています。(p.111)
山口はこういうことを学問的に証明された、聖書的な真理であるかのように書いているが、果たしてどうだろうか。聖書は現代的に読まれてしかるべきであると思うが、聖書そのものは時代の制約を受けたものであり、その点を無視してはいけない。
私はキリスト教徒と言えるような人間ではないので、どのような性的な傾向も否定はしないし、そのために聖書的な根拠を求めたりもしない。