本の覚書

本と語学のはなし

購入5-1

 土井正興『イエス・キリスト』(三一書房)。
 田川建三は『イエスという男』(未読だが)を書くにあたり、ブルトマンの『イエス』、八木誠一の『イエス』、そして土井正興の『イエス・キリスト』に描かれる「イエス」を対話相手に選んだ。
 前二者については「抽象的な思弁のかたまり」で「とてもイエスの歴史的実態にせまるなどというものではない」が、「すぐれて独創的な深みに到達している」と評価している。一方、土井のものは「歴史的にあまりに初歩的な間違いが多すぎ」るが(土井の専門はローマ史である!)、「出発点の着想の面白みはそれなりに独創的な質に到達」しているそうだ。