本の覚書

本と語学のはなし

コイネー

 旧約をヘブライ語で読もうとしているなら、新約もギリシア語で読むべきではないかと思い、続くかどうかも分からぬまま開始してしまった。私が持っているテキストは、ギリシア語原典とラテン語訳(いわゆるウルガタ訳ではない。ウルガタ訳は別に持っている)が一緒になったもの。
 新約のギリシア語はコイネーと呼ばれている。当時の地中海世界の共通語であった。田中・松平の『ギリシア語入門』を見ると、「アッティカ標準語がその根幹になっているが、文法的にも語彙的にも相違する点が少なくない」とある。文法的には簡略化の方向に向かっているわけだから、私の知識でも基本的には読むことができる。しかし、変化が多少失われた分、どのようにしてかそれが補われているはずであり、そこを明らかにしなければ正確に読解することはできない。いずれまた新約のギリシア語文法について学ぶ必要が出てくるだろう。

    Ἰεσσαὶ δὲ ἐγέννησεν τὸν Δαυὶδ τὸν βασιλέα.
   Iesse autem genuit David regem.
   エッサイはダビデ王をもうけた。(マタ1:6)

 ホメロスをやめたわけではない。