本の覚書

本と語学のはなし

詩の作り方/黒田三郎

詩の作り方 (作法叢書)

詩の作り方 (作法叢書)

 結構手のかかるヘブライ語を始めてしまったせいで、読書の時間はあまり取れない。ようやくこれが今月の一冊目。
 内容は今ひとつ。詩の作り方については何も書かれていない。それはそれで一つの、というか、当たり前の見識かも知れない。我々は定型との断絶の中にしか居場所がないのであって、形式について現代詩人が教えることは何もないのであり、アドバイスできるとすれば、好きな詩人を見つけなさいというくらいしかないのだから。
 詩を書くとはどういうことなのか真摯に追及するか、あるいは詩の鑑賞を通してそれを浮き上がらせてくれるかしたら、まだよかったかもしれない。だが、全体的に散漫なエッセーの寄せ集めという感じがして仕方ない。本当に「詩作法」というテーマで一冊の本を作ることを最初から構想して書かれた文章群なのかと疑いたくなる。