本の覚書

本と語学のはなし

居酒屋

C’était au 2 décembre. Le zingueur, par rigolade, avait eu la belle idée de descendre voir l’émeute ; il se fichait pas mal de la République, du Bonaparte et de tout le tremblement ; seulement il adorait la poudre, les coups de fusil lui semblaient drôles. (p.158)

十二月二日のことである。ブリキ屋はふざけ半分に、市内におりて暴動見物をしようというくだらぬ考えをおこした。彼は共和国やボナパルトやその他もろもろを一切合財ばかにしていたが、火薬はいたって好きで小銃の射ちあいがいかにもおもしろそうに思えたのだ。(p.154)


 これは1851年のクーデターの時のことで、したがってボナパルトとは、翌年皇帝になるナポレオン3世のことである。
 ブリキ屋のクーポーは隣人のグージェに救われる。グージェは共和派であったが、それを記述する際ゾラは〈sagement〉(賢明にも)という挿入句を挟んでいる。