本の覚書

本と語学のはなし

『和文英訳の修行』


◎佐々木郄政『和文英訳の修行』(文建書房)
 基礎編と応用編の問題のみに目を通す。この本を全部やりきるのは修行というより苦行に近いので、暗唱用基本例文が500題収められた予備編は飛ばしたし、基礎編も導入の解説は一切読まなかった。
 手持ちの貧弱な知識だけでなんとかやさしくパラフレーズして書こうという軟弱な姿勢の本ではなく、あくまでも完璧な英語を書くための本である。受験向きではないかもしれないけど、応用編だけでも目を通しておくと、直ぐには血肉とならないにしろ、いい勉強になると思う。

 いずれの国語においても漸次古代から近代に及ぶにしたがって言語の組織が簡単から複雑に進んでくるのが一般的の現象である。(長崎大)


 これは応用編の問題40。「このような文章に翻訳的態度でぶつかってなんとか意味の通ずる英文をものせる人は大学生にだって千人に一人といないであろう。ところが翻案して書けば中学3年生にだってできるのである」(370頁)。次の訳例1が著者のいわゆる中学生流翻案で、訳例3は翻訳ということになるだろう。

 〔訳例1〕 All languages were quite simple in the beginning, but most of them have grown less and less simple in their structure with passage of time.


 〔訳例3〕 It is a phenomenon most commonly to be observed that as a language advances from its primitive to modern stage, its structure grows gradually from simplicity to complexity.


 ある段階までは書くより読む方に主眼を置いた方がいいとは思う。しかし比較的自由に読めるようになったら、次のブレークスルーはアウトプットとインプットの相乗効果によるべきだろう。
 英語なら高校生にも教えられるといい気になって書いていたが、作文は難しい(会話はもっとだめだけど)。自信を持って教えるためにも(まだ決まった訳ではないけど)、作文の訓練をしたい。

和文英訳の修業

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