●『原文対照現代語訳・道元禅師全集14 語録』(伊藤秀憲ほか訳注,春秋社)
「普勧坐禅儀撰述由来」「普勧坐禅儀」「永平初祖学道用心集」「真字『正法眼蔵』」を収録する。
現代語訳と豊富な注釈がありがたい。読むことができたのは、この新全集のおかげである。ただし、欲を言えば、「真字『正法眼蔵』」は漢字の読み仮名をもう少し示してもらいたかった。
レヴィナスを読み始めたせいで、禅にとって、あるいは道元にとって他者とは何なのだろうかと気になり出した。秋月龍萊はこれまで禅には他者の視点が欠けていたと認めた(『一日一禅』)。これほど師に出会うことをや問答を重視する禅において、他者の視点が欠けているとはどういうことなのだろう。