本の覚書

本と語学のはなし

今日も図書館と本屋


 自宅から若干遠くにある図書館に行き、『岩波数学入門辞典』を見てきた。しばらく『数学小辞典』と比較する。後者も捨てがたいが、とりあえずは前者を購入しようと決める。向かいの席で本を読む老人は、高校時代の国語の先生によく似ていた。たぶん間違いないだろうと思う。
 続いて街中にある本屋に向かった。いつの間にか店舗は売りに出されていた。硬派な品揃えを特徴とする、市を代表する本屋だったのだが、ネット書店や大型書店に覇権を奪われてしまったようだ。
 大型書店(と言ってもワンフロア)に行く。買いたい欲求を必死に抑える。しかし、本屋の危険はそれだけではない。時間の経過があまりにはやい。長居をしすぎると勉強をする暇がなくなってしまう。
 『老人と海』の対訳本があったので、冒頭の「benevolent skin cancer」を確認する。福田訳では「皮膚癌を思わせる」となっていて、形容詞がこの場合どういう意味なのか分からなかったところだ。*1対訳本の注釈では、このbenevolentはbenignantに等しい、つまり「良性」のことだと説明していた。そう書くからにはきちんと裏を取っているはずだから、信用すべきだろう。
 この本屋に来るといつも気になるのが、パリジェンヌことIさんである。駅ビルの本屋に勤めていた頃から、かれこれ15年くらい知っている(知り合いではない)。美人というわけではなくて、パリに生活していても違和感なさそうというだけのことなのだけど、そろそろパリジェンヌでもないかもしれない。