本の覚書

本と語学のはなし

カルボキシル基

 若者を集めて会議。人を集める仕事はこれでおしまい。あとは4月のイベントの準備や補助金の処理など、内にこもってやっていればよい。


 それから、本来私の仕事ではないのだけど、地元の文芸誌の校正を頼まれている。誤字脱字、誤用を見る。
 誤用の場合、直すか直さないかは最終的に担当者が判断する。「小春日和」を春の天候として表現していても、それは直さない。別の作品を作らなくてはならないから。昨年は川柳の選者が最近の景気を「いざなぎ」と表現していたので「いざなみ」に直したら、本人から苦情があったらしい。しかし、これは直さなくてはならないだろう。
 この地方で多いのは、「い」と「え」の逆転現象。発音だけでなくて、しばしば表記も逆転する。高校時代「カルボキ」とあだ名された生物の教師*1は「ショウジョウバイ」と黒板に書いて笑われても、これが正しい表記なのだとうそぶいた。辞書を見ると、確かに「ハイ」は「ハエ」の転として載っているけれど、我々の世代は誰もそれを信じない。端的に誤りと見なしている。「チイ」と言う名の女性は、書道をするときの雅号を「智恵」としている。だから、「チエ」のある人とは、おそらく「地位」のある人のことなのだろう。


 兄は東京に戻る。

*1:いつも「カルボキシル基」をゆっくり強調しながら発音していたので。