本の覚書

本と語学のはなし

『サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉』


●春山昇華『サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉』(宝島社新書)
 分かりやすくてよい(ついでに、日本のバブルが何だったのかも少し分かった)。
 サブプライムというのは低所得者向けの住宅ローンであるわけだけど、それがアメリカの単なる住宅バブルというだけで済まないのは、ローン債権を証券化するという最近の金融技術のためである。金融商品となったローン債権は全世界に売られる。銀行は貸し倒れのリスクを負うことなく、証券化で手数料を荒稼ぎする。「こうして、銀行がローンを最後まで保有しなくなった結果、ついには住宅ローン・ビジネスで成立していたチェック機能が失われていったのだ」(64頁)。
 この本の最後では、これを機にアメリカの購買力が失われ、覇権が移行するというシナリオを、一つの可能性としてではあるが描いている。


 金融リテラシーと言うとき、単に自分のお金を銀行に預けていいものかどうかというレベルで終わってはいけないのであって、そのお金の流れが何を引き起こすのかということまで見届けられなくてはいけないのだろう。その上で、現在の制度が適正なのかどうかまで考えなくてはいけないのだろうと思う。