イサク【ヘブライ語】
Biblia Hebraica Stuttgartensia
- 作者:Elliger, K.
- 発売日: 1990/06/01
- メディア: ペーパーバック
וְקָרָאתָ אֶת-שְׁמוֹ יִצְחָק
彼をイサクと名づけるがよい。
創世記17章19節より。日本語訳は岩波のもの(月本昭男訳)。神がアブラハムに語りかけ、イサクの誕生を言い渡す場面である。
原文だとイサクはイツハクであり、「彼は笑う」というような意味である。17節では、年老いた自分とサラの間に子供ができようかと、アブラハムは内心笑った。それがイツハクである。
また、後にサラは神の使いの言葉を聞いて、やはり内心笑った。18章12節では、これはティツハクである。ヘブライ語の動詞は、人称や数だけではなく、男女によって形が変わる。サラが主語の場合には、女性形のティツハクになるのである。
さて、生まれた子供は神の命じたとおり、イサク(イツハク)と名づけられた。サラは言う、「神は私に笑いを下さった。〔これを〕聞いた者は誰でも私に笑いかけましょう」(21章6節)。この「笑いかけましょう」も、イツハクである。
ちなみに、「私に笑いかけましょう」はイツハク・リーであり、これは「イツハクは私のもの」という意味にもなる。岩波訳の注によれば、「誰が老齢出産を嘲笑しようと、イサクはわが子、という含みがある」とのことだ。
聖書を読むのに必ずしも原語を尋ねる必要はないけれど、ほんのちょっと知識があるだけでも随分楽しみが広がる。
非人称構文【ドイツ語】
- 作者:Stark, U,Stark, U,Ende, Michael
- 発売日: 2014/06/06
- メディア: ペーパーバック
- 作者:ミヒャエル・エンデ
- 発売日: 2005/06/16
- メディア: 新書
Aber nach und nach kam heraus, dass Nicola diese Schandtat nur begangen hatte, weil Nino ihm zuvor in Gegenwart einiger Gäste eine Ohrfeige gegeben hatte. Dem war allerdings wieder vorausgegangen, dass Nicola versucht hatte, Ninos ganzes Geschirr zu zertrümmern. (p.18)
けれどそのうちに、ニコラがニノを水おけにつっこんだのは、ニノが客のまえでニコラのよこっつらをひっぱたいたせいだとわかりました。ところがそれは、ニコラが店の食器をぜんぶたたきわろうとしたからだというのです。(p.27)
聖書の原典講読の際に翻訳を参照するだけでは味気ないので、ドイツ語は『モモ』を再開することにした(ラテン語は変更なし)。その代りに欲張らず、旧約とドイツ文学の日、新約とフランス文学の日に分けることにしようと思う。
英語はタイムを終えたら英米文学に取り掛かることにするつもりだが、最近タイムが遅れ気味なので、なかなか文学を味わうところまで行きつかない。
久しぶりに『モモ』を読んだら、この非人称構文である。英語にもなくはないが、ドイツ語の方が頻繁であるし複雑である。そしてゲゲーベンとかゲガンゲンとか、やたらに出て来る「ゲ」の音。不思議な懐かしさ。