本の覚書

本と語学のはなし

教会法で知るカトリック・ライフQ&A40/菅原裕二

 世界には約11億のカトリック信者がいて、司祭は約40万人。これを一つの組織としてまとめようというのだから、法的な整備も必要とされるわけである。
 教会法は秘跡にも及ぶ。ただし、教会法はカテキズムとは違う。カトリックは儀式的であり、秘跡も目に見える形式を備えているので、法によって条件を制定することも仕方のないことかもしれないが、これはあくまで法的表現にすぎない。

現行教会法を公布したヨハネ・パウロ二世は、法典が教会において信仰や愛や霊的な賜物の代わりになるものではなく、それらのものが第一の場を占めるように秩序を与えることを目指すものだと教えています(法典公布の「使徒憲章」参照)。(p.11)


 率直に言えば、カトリックは面倒くさい。
 たとえばカトリックは離婚を認めない。それなら絶対に別れることができないのかと言えば、必ずしもそうではない。神の恵みである絆が最初から存在しなかったと判断されれば、結婚そのものがなかったこととみなされる。結婚の事実がなかったのだから、離婚もない、というロジックである。
 実際にどの程度この婚姻無効訴訟が行われているのかは知らない。

時代と流れのつかめる用語問題集 日本史B/鈴木和裕

 一般的にそうかもしれないけど、私は近現代の歴史に弱い。歴史の授業は必ずしも人類の登場から始めなくてもいいのではないだろうか。むしろ近現代を先にやるべきという気がする。あるいは世界史と日本史を一緒にした現代史の授業を新設して必修にするとか。


 空欄補充の用語問題集なので、これから歴史を学び始めようという人には向かない。ある程度の知識のある人が、整理・確認しながら、しっかり定着させるためのものである。
 私の場合、図説資料をよく眺めるようになった。世界史の時にも書いたが、これが一番の効用であった。
 受験に役立つかどうかは知らない。本来の用途として使うことを検討している人は、自分で書店で手に取ってみるなり、専門家や受験生のレビューを参考にするなりするべし。社会人の常識として歴史の流れを押さえるという観点からならば、十分すぎる。

新版

時代と流れで覚える! 日本史B用語 (シグマベスト)

時代と流れで覚える! 日本史B用語 (シグマベスト)

  • 作者:鈴木 和裕
  • 発売日: 2015/09/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 旧版は細川護熙内閣の登場によって五十五年体制が崩壊するまでを扱う。新版の方は知らない。

TIME Dec. 26, 2016 / Jan. 2, 2017

Time Asia [US] D26 - J2 2017 (単号)

Time Asia [US] D26 - J2 2017 (単号)

  • 発売日: 2016/12/22
  • メディア: 雑誌
 前回のダブル・イシューが2016年の振り返りで、今回のダブル・イシューが2017年の展望。そして今週は休刊。次回は1月16日号。
 職場で通常号の半分相当の分量を一気に読んだ。ひょっとして、条件が良ければ、職場だけでカバートゥーカバーできるんじゃないの。そんな手ごたえを感じた。ずっと続けるべきなんじゃないだろうか。


 今年はルターの95箇条の提題から数えて500年目に当たるのだった。日本でもルターや宗教改革の本がたくさん出版されるかもしれない。新刊を直ぐに買うことはないだろうが、注目しておこう。


 タイムらしいといえば、ギリシャの難民キャンプで生まれたシリア人の赤ちゃんたちを一年間追いかける企画。表紙のヘレンもその一人。
 タイムの編集長 Nancy Gibbs(女性である)は書いている。

 There are few more wondrously terrifying moments in a woman’s life than when she gives birth, delivering unto the world the passenger she has been carrying for nine months and then meeting directly for the first time. Tissue skin. Lumpy feet. Deep-pool eyes and those first howling breasts, all real and raw and eternal and so fragile.
 So I cannot conceive what it is like for the refugee women who have fled their country by land or sea or both to give birth to their babies in a foreign hospital, far from family and home, sorrounded by doctors and nurses whose language they can’t understand, wrapping their newborns in borrowed blankets and returning to the tents they now call home.

 赤ちゃんたちには兄や姉もいる。就学年齢に達した子どもたちの教育も悩ましい問題だ。難民にとってギリシャは最終目的地ではない。ギリシャ語で教育を受けさせたところで、子どもたちの将来のために役立つ保証はない。かと言って、ヨーロッパが難民の受け入れに難色を示し始めている現状では、容易に行きたいところに行けるとは限らないのである。