本の覚書

本と語学のはなし

発信型英語10000語レベル スーパーボキャブラリービルディング/植田一三

 一般語彙、分野別語彙、日本事象語彙。それぞれに比較的高度な語彙を集めている。
 これをきちんとマスターすれば、タイム、エコノミスト、CNNがエンジョイできるようになるだけでなく、英検1級、工業英検、国連英検特A、通訳ガイドなどに合格し、TOEICで満点、TOEFLEで115点が取れるようになれるであろうという。
 私は試験の方には全く興味がないので分からないが、タイムに関して言うと、この本に載っていない単語はいくらでも出て来るが、大まかな内容を追うにはこれで十分というか、こんなに必要はないかもしれないくらい。一般語彙と文系分野別語彙をあらかたマスターし、主要な理系語彙を押さえておけば、だいぶ読みやすくなるはずだ。


 付属のCD3枚に全ての単語(コラム、クイズなどは除く)が録音されている。職場への行き帰りに聞いている。昔から単語を覚えるのは嫌いなので、本を見るよりむしろ耳から聞く方を頼りにしている。
 一般語彙はコロケーションのみ。例えば intrinsic(固有の、本質的な)という形容詞は、intrinsic value, nature, power と吹き込まれているだけ。これは intrinsic value, intrinsic nature, intrinsic power という組み合わせでよく使われるということである。
 分野別語彙は、英語―日本語の順。例えば「red-tape system ― 複雑な官僚制度」など。
 日本語事象語彙は、これと逆で日本語―英語の順。「活け作り ― raw fish sliced while it is still alive」など。純和風な語彙はいいが、私はランダムで聞いているので、分野別にでもありそうな言葉だと、日本語と英語の順番の交替に戸惑うことがある。

古いバージョン

 この本には古いバージョンもある。語彙の数はこちらの方がずっと多かった気がする(思い出補正があるかもしれない)。CDは別売だし、あまり出来のいいCDでもないので使いやすくはないのだが、耳の方は第二弾を使うとして、認識語彙を増やすには第一弾の方がいいのかもしれない。もう一度古本で買ってみることにする。

TIME Sept. 12 / Sept. 19, 2016

Time Asia [US] Sp 12 - 19 2016 (単号)

Time Asia [US] Sp 12 - 19 2016 (単号)

  • 発売日: 2016/09/06
  • メディア: 雑誌
 合併号。普段よりボリュームがある。
 ピックアップするのは、プーチンのアトス山巡礼。正教の信仰の守護者となることで、EU内の正教の国を通じて、政治的にも影響力を持つことになるのかもしれない。

In the West, most efforts to grasp the actions of the Russian President ― such as the military incursion he ordered into Ukraine in 2014, the bombing campaign he began over Syria last year and the general vilification of the West that permeates many of his speeches and policies ― tend to look for answers in the legacies of the Cold War. But Putin’s strategic vision has roots in an even earlier era, one in which czars and priests, not communist apparatchiks, defined Russia’s role in the world. Through his visit to Mount Athos, Putin evoked that era of Russian imperial power, signaling how central it is to the legacy he wants to build.

 プーチンは冷戦時代のソ連を目指しているのではなく、帝政ロシアをこそ理想としているようである。

鷗外近代小説集 第四巻/森鷗外

第4巻 青年 (鴎外近代小説集)

第4巻 青年 (鴎外近代小説集)

  • 作者:森 鴎外
  • 発売日: 2012/11/07
  • メディア: 単行本
 『青年』のみ収録。
 小説を書くべく上京してきた青年小泉純一が、干からびたような鷗村の家の前を通ったり、拊石の講演を聞いて大いに刺激を受けたり、或る未亡人と割に受動的な関係を持ったり、やがてその誘惑を断ったりというのが大まかなあらすじで、作中にいろんな新思潮の文学作品やら哲学思想などが紹介される。
 鷗外は長編作家ではないのだろう。『灰燼』は完全に未完成であったし、『青年』も一応擱筆はされたが、実際に書かれたのは構想のごく一部にしかすぎない。


 時々無性に読みたくなる。現在、鷗外枠というのを特別に設けてはいなが、考え直した方がいいか知らん。