本の覚書

本と語学のはなし

なんでもわかるキリスト教大事典/八木谷涼子

 カトリック向きではないのではないかという自覚が芽生え始めたので、読んでみる。各教派の誕生の流れと特徴を大まかに知るには、とても良い本だ。
 予定説には引っかかりがあるものの、カルヴァンに由来する改革派・長老派が、呪術的要素を排除し、理知的に神学を追求するイメージで、私には合っているかもしれない。鈴木大拙も集会に参加したことがあるというクエーカーも、やや奇妙だがシンプルで面白そう。三位一体を認めないのでもはやキリスト教とは言えないだろうけど、ユニテリアン・ユニヴァーサリストはひょっとしたら私に一番近いのかもしれない。
 だが、一通り読んでみて、結局一番しっくりくるのがカトリックである。子供の頃の体験があるから、こればかりは仕方ないのかもしれない。


 実際に教会を探す時には注意が必要だ。この本で紹介されているとおりの名称を教会名に掲げているとは限らない。単独で教団を作らず他教派と合同している場合もあるし、同じ教派でも幾つかの教団に分裂してそれぞれに特徴を持っている場合もある。
 たとえば日本基督教団の教会がある。これは様々な教派の寄り合い所帯であるから、この名前だけで私の地域の教会の性格を知ることはできない。そこでホームページを見ると、元は日本組合基督教会からスタートしているらしい。会衆派・組合派ならこの本でも紹介されているから、だいたいのイメージはつかめる。同志社を作った新島襄の所属していたところでもある。これなら行ってみてもよいかもしれないが、本当にリベラルな雰囲気かどうかは実際に見てみなければ分からない。
 バプテスト教会がある。これは名前からして分かりやすいが、この系統も幾つかに分裂しており、私の地域にあるのは特に原理主義的傾向が強く、かつ独自の主張を掲げる教団に属している。英語が勉強できるかもしれないからといって、安易に近づくべきものではない。
 かつてカトリックに属していた者の悪い癖なのかもしれないが、どうもプロテスタント系の教会には、用心が先立ってしまうのである。