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本の覚書

本と語学のはなし

神学・政治論(上)/スピノザ

神学・政治論(上) (光文社古典新訳文庫)

神学・政治論(上) (光文社古典新訳文庫)

 理性的な聖書学の嚆矢である。モーセ五書がモーセによって書かれていたと信じられていた時代(少なくともそう信じるべきであった時代)、モーセ五書から列王記に至る歴史書は、遥か後代に、恐らくはエズラによって、様々な資料をつなぎ合わせて編集されたものであると主張したのは、さすがである。
 しかし、本書は単に神学の本ではない。哲学の本である。タイトルページにはこんなことが書かれている。

本書は、哲学する自由を認めても道徳心や国の平和は損なわれないどころではなく、むしろこの自由を踏みにじれば国の平和や道徳心も必ず損なわれてしまう、ということを示した様々な論考からできている。

 憾むらくは、スピノザは、宗教は本来、自然の光に照らして誰でもが理解可能な単純な道徳を教えるものと位置づけたがっているようである。

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TIME Nov. 28 / Dec. 5, 2016

Time Asia [US] N28 - D5 2016 (単号)

Time Asia [US] N28 - D5 2016 (単号)

 合併号。
 年末に上映される予定の映画が特集されている。その中に『Silence』というのがあって、どうせ見るわけでもないしと思いつつ、その小さな紹介記事をささっと読んでみたら、どうやら遠藤周作の『沈黙』っぽいではないか。

SILENCE
Dec.23
Martin Scorsese’s new drama stars Andrew Garfield and Adam Driver as 17th century Jesuit priests who travel to Japan on an evangelical mission that doubles as a search for their mentor (Liam Neeson).


 メインの特集はエポックメイキングな写真たち。

In the process of putting together this list, we noticed that one aspect of influence has largely remained constant throughout photography’s nearly two centuries: the photographer has to be there.

聖公会の教会問答 信仰の手引き/岩城聰

聖公会の教会問答

聖公会の教会問答

 これまで聖公会に関心を持つことがなかったのを反省して、読んでみた。
 宗教改革の洗礼を受けてスリムになったカトリックという趣き。使徒継承を重視し、その典礼も儀礼的ではあるが、信条的には最低限のことを受け入れてさえいればよく、けっこう自由であるらしい。
 「多様性の中の一致」を唱える彼らを緩やかに繋ぐのは、一冊の祈祷書。

一冊の祈祷書のみで、朝、夕の礼拝、聖餐式、洗礼式、結婚式、葬送式、聖職按手式(後に追加された)などが載せられており、それを読めばその儀式の意味が理解できるようになりました。また祈祷書の三分の二を占めるといわれる聖書の意味も、儀式との関連で理解できるようになったのです。また、クランマー自身が堅信式の準備のために書いたと言われる「公会問答」が含められ、信徒教育の重要な文書とされたことも特筆すべきことでしょう。(p.91-92)

 この一冊のみで、教会生活のほぼ全てがカバーできるというのは素晴らしい。
 そして、この祈祷書に組み込まれた教会問答の日本聖公会バージョンに解説を施したのが、本書である。


 カトリックなのかプロテスタントなのかはっきりしないとか、明確な信条がないのではないかと不満に思う人もいるだろうけど、その分偏りなくキリスト教ボトムラインを示してくれているようである。
 聖公会の人でなくとも、お薦めできる。
 ただし、聖公会カトリックと似ていて、礼拝共同体である。実際に教会に足を踏み入れなくては、本当のところは分からないだろう。

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