本の覚書

本と語学のはなし

The Summing Up を始める【英語】

The Summing Up (Vintage Classics)

The Summing Up (Vintage Classics)

サミング・アップ (岩波文庫)

サミング・アップ (岩波文庫)

  • 作者:モーム
  • 発売日: 2007/02/16
  • メディア: 文庫
 語学が停滞している最大の理由は、文学から離れてしまっていることにある。研究書みたいなものを読んでいても味気ない。テンションが上がらない。やはり私が好きなのは作家の書く文章である。
 ドイツ語はもうすぐタイセンのものが終わるからそれまで待つことにして、英語はクッロサンの本を中途でやめて、モームの『サミング・アップ』を取り上げることにした。これを選択したのは他でもない、訳者に我が師匠(と勝手に決め込んでいる)行方昭夫を有しているからである。ちょっと訳しすぎる部分もないとは言えないが、英語を理解するとはどういうことか、この人ほど良く教えてくれる人はそうはいない。
 冒頭付近の簡単な例を示してみる。

This disability, I am aware, has made my company less agreeable than it might otherwise have been. (p.1)

うまいジョークが飛ばせれば、同席する人にもっと良い印象を与えられただろうが、実際はあまり楽しくない相手と思われていたようだ。(p.8)

 ヘンリー・ジェイムズの時のほどの知的格闘はないかもしれない。それでも久しぶりの英文学である。大いに楽しみだ。