本の覚書

本と語学のはなし

購入12-3

下手の横好き

 私の語学学習はとても単純で、文法書を読んだ後には、辞書を引きまくって本を読むという以外の工夫を凝らすことがない。ノートは作り方が分からないし、どこが重要なのか判断できないから参考書や本に書き込みをする勇気もないし、単語集に挑戦すれば退屈ですぐに飽きてしまう。
 だから私の語学は伸びない。

ブレークスルー

 しかし、二十代の後半に『DUO 3.0』(アイシーピー)で耳から英単語を覚えた時、一つのブレークスルーがあったように思う。高校時代から英語は毛嫌いしてた。「緑」を「green」などと言うのは気に入らない! というレベルである。それが小説を面白がるようになった。時事雑誌のカバー・トゥ・カバーを目論んでいたこともある。
 英語力の上昇は他の言語にも好影響を及ぼす。昔から英語以外の言葉を学ぶのは好きであったけれど、好きと公言するにはあまりに貧相な力しかなかった。それがいつしか、どんな言語も読んで読めないことはないと感じるようになった。フランス文学の原典講読も今ではたいして困難はない。
 もちろん、『DUO 3.0』のレベルなど高が知れている。その後会話CDを聞き流したり、電子辞書を導入したり、翻訳に学んだりした(特に行方昭夫)ことの方が重要かもしれない。しかし耳からの英単語というのは、私にとっては大いなるきっかけであり、革命であったのだ。


 耳から語学なんて今では当たり前すぎて、何が革命なんだか理解できる人は少なくなってしまったかもしれない。
 年代の分かる話になってしまった。恥ずかしい。

【参考】

DUO 3.0

DUO 3.0

  • 作者:鈴木 陽一
  • 発売日: 2000/03/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
DUO 3.0 / CD基礎用

DUO 3.0 / CD基礎用

DUO 3.0 / CD復習用

DUO 3.0 / CD復習用

購入

 前置きが長くなった。本題はここからだ。
 今回買ったのは聖書単語のCDである。Zondervanから出ているPenningtonの『Old Testament Hebrew Vocabulary (Learn on the Go)』と『New Testament Greek Vocabulary (Learn on the Go)』。
 『DUO 3.0』のように例文で覚えるタイプではなく、ただひたすらヘブライ語ギリシア語の単語の後に英語の訳を吹き込んだだけのもの。小冊子がついているけど、これも録音のための台本と言った体で、実にそっけない。
 工夫と言えば、ヘブライ語は二十回以上、ギリシア語は十回以上聖書で使われる単語を全て収録しており、使用頻度の高い順に並べているところか。
 しかし、この単純さが使いやすさにつながるのかもしれない。小冊子はコピーして(あるいはバラして)持ち歩くのにも適している。


 ヘブライ語は文法が難しいということはないが、仲間の言語を学んだことがないから、単語が覚えにくくて困る。果たしてこれが『DUO 3.0』のごとき救世主となってくれるだろうか。