本の覚書

本と語学のはなし

英詩理解の基礎知識/志子田光雄

英詩理解の基礎知識

英詩理解の基礎知識

 前半は詩の言語(比喩や象徴など)、後半は詩の形式(韻律など)。基礎は一通り身につくはずなのだが、詩をスキャンするのはなかなか難しい。韻律の詳細を明らめようなどと拘り過ぎてはいけないのではないか。原詩を音読できさえすればそれでいいのではないか。身も蓋もない結論へと急ぎたくなる。焦らず実地にゆっくり鍛えていくしかない。

 同一言語で詩と散文を同時に読み進めるような無茶はしないことにした。英語はしばらくまた『チャタレイ夫人の恋人』に戻る。来月、『赤と黒』を切りのいいところで中断し、フランス詩法の本かフランス詩そのものを読む。
 詩は語彙が特殊だったり、破格の文法を許容したりするので、語学の勉強のためには悪影響を及ぼすのではないかと危惧していた頃があったけれど、今は竿頭に更に一歩を進めるのは詩の力によらなくてはならないと感じている。ようやく詩に取り掛かるに堪える散文の力が身についた証しだろう。