本の覚書

本と語学のはなし

『東方綺譚』


マルグリット・ユルスナール『東方綺譚』(多田智満子訳、白水Uブックス
 中国、インド、ギリシアなどを舞台とした小品に加えて、日本の『源氏物語』に想を得た「源氏の君の最後の恋」も収められている。翻訳を通しても、おそらく原文はかなり硬質な文体であろうと想像できる。
 残念ながら、ユルスナールの本で比較的安く入手できるのはこれと『とどめの一撃』くらいだし、そもそも翻訳で読めるものがそう多くない。ちょっと値は張るが、『ハドリアヌス帝の回想』と『黒の過程』だけは必ず買っておこう。できればいずれフランス語でも挑戦してみたい。