本の覚書

本と語学のはなし

Die Verwandlung補足


 昨日指摘した『変身』の当該箇所を、別の翻訳で調べてみた。
 光文社古典新訳文庫の丘沢静也は「食事と食事のあいだでも」、新潮文庫高橋義孝は「食事と食事のあいだのときでも」。
 恐らく池内紀の「食事のあいだにも」という表現が意味しているのも、同じことなのだろう。ただ、それを縮約して、同じ意味として通るかは疑問である。「食事中」を意味しているのだとしたら誤訳だが、これはちょっと考えにくい。「zwischen」(英語の「between」に相当する前置詞)はそもそもそんな意味にならないはずである。ドイツ語というよりは日本語の問題だろうし、それよりも一層ありうるのは、入力ミスといった瑣末なレベルの問題ではないだろうか。