本の覚書

本と語学のはなし

東司

 父の外泊が許可された。病院まで迎えに行き、帰りに市役所に寄って期日前投票
 市役所を出て直ぐにトイレに行きたいと言い出した。役所に戻ろうとしたが、父は途中にあるトイレが使える店に行くと言う。いくらもしない内に、家にまっすぐ行くと言う。役所から家まで十数分だし、その言葉に従った。
 家に戻ると、漏らしていた。漏らしてしまったので、店に行く必要もなくなったのだろう。尿意をもよおしてから排尿するまでの時間などほとんどなかったのだ。
 尊敬すべき愛すべき父親を持っている人なら、こういう時に随分とショックを受けるのだろう。あいにく、私は脳梗塞以前の父が漏らしたところで別段驚きもしなかっただろうから、車が汚れて嫌だなあという以外に何らの感動も抱かない。
 帰ってきてからは、ぴったり一時間おきにトイレに行く。
 父が退院すると、どうやら家が小便臭くなるのを覚悟しなくてはいけない。