しかし、あまりお薦めはできない。
先ず独習に向かない。説明が簡単な分を練習問題で補う体裁なのだが、解答がついていない。和訳には多少の注があるけど、初学者には全く足りないだろう。私も和訳には半分ほど目を通したが(希訳には手をつけなかった)、後半は気力が萎えて問題は飛ばしてしまった。
それから、漸進的な構成だから仕方ないとはいえ、後から参照しにくい。この本は昔から持っているが、これで調べ物をしたことはほとんどないし、今後もすることはないだろう。
最後に文法表が見にくい。初学者が何度も確認しなくてはならない動詞の活用が、殊に不親切な配置になっている。少なくとも私にとっては、甚だ記憶に定着させづらいように思える。
日本語の体系的な文法書も持っていた方がよいということは分かった。ちょっと高いが高津春繁の『ギリシア語文法』(岩波書店)を入手するしかなさそうだ。
【新装版】*1
*1:私が持っているのは岩波全書のものだが、今はサイズの大きな新装版が出ている。ただし、旧版を拡大しただけで内容は全く変わらないらしい。