本の覚書

本と語学のはなし

はじめての宗教論(右巻)/佐藤優

 何がポイントなのか、最後まで私には見えてこなかった。多くの日本人にとっては奇異に映るであろう、キリスト教の側からの世界観を提示する。ひとまずはそれが大きな目標でもあったのだろうけど、私にとってはその奇異さが特別異質なものではないだけに、著者の意図がまったく響いてこなかったのかもしれない。
 いろんな知識を雑然とばら撒いただけのように見える記述の仕方にも、失望する。各章のテーマがしっかり掘り下げられているようには私には思えないし、全体を通じた導きの糸もあるのだろうけど、それも推測の域を出ない。
 左巻ではもう少し詳しく神学に立ち入るようだから、そちらに期待しておく。