本の覚書

本と語学のはなし

『愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える』


●マンシェット『愚者あほが出てくる、城寨おしろが見える』(中条省平訳、光文社古典新訳文庫)
 馴染みのない分野の本だが、これを買ったのはフランスものであれば何でも手を出していた頃のことである。たまに読むと面白い。…それ以上の感想は特にないので、いくつか情報を書き連ねておく。
 著者は1968年五月革命の反秩序的精神風土から生まれたネオ・ポラールポラールは犯罪、推理、探偵小説)において法王の異名をとる。本作は1973年フランス推理小説大賞を受賞。タイトル(Ô dingos, ô châteaux!)はランボーの詩(Ô saisons, ô châteaux!)をもじったものなので、訳者はランボー中原中也訳「季節ときが流れる、城寨おしろが見える」(白水社版の小林秀雄訳から頂いたものらしい)をもじって邦訳タイトルとした。彼の文体を訳者は「フローベールとハメットの婚姻」と呼びたくなるという。ジャン・エシュノーズというフランスの純文学小説家は、マンシェットが現代作家に与えた影響と重要性をことあるごとに強調している、等々。


愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える (光文社古典新訳文庫)

愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える (光文社古典新訳文庫)

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