本の覚書

本と語学のはなし

『決算書の暗号を解け!』 〔13〕


勝間和代『決算書の暗号を解け! ダメ株を見破る投資のルール』(ランダムハウス講談社,2007年)
 『財務3表一体理解法』にもあやしい決算書の見抜き方は簡単に紹介されていたが、こちらは丸ごと一冊そのテクニックに満ちている。
 会計をごまかすというと、粉飾とか脱税とかいった違法行為のことと思うかもしれないが、その間には合法なレベルにとどまりながら様々な会計操作が行われている。
 攻撃的な会計操作の基本は二つ。一つは、収益をなるべく前倒しで計上する。一つは、費用をなるべく先送りして計上する。
 損益計算書の経常利益や営業利益だけを見て判断してはならない。なぜなら、それこそ会社が見栄えを良くしたいとターゲットにしている数字であるから。決算書一式をセットで検討すれば、無理をしていることは必ず見えてくる。


 予想以上に面白かった。勝間和代は会計士としてもアナリストとしても仕事をしている上に、2004年に『会計操作』(ダイヤモンド社)の著者、須田一幸のゼミに入ったというから、こういう本を書くのにこれ以上ない存在であったのだろう。

決算書の暗号を解け! ダメ株を見破る投資のルール

決算書の暗号を解け! ダメ株を見破る投資のルール

  • 作者:勝間和代
  • 発売日: 2007/10/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)