本の覚書

本と語学のはなし

英国


吉田健一『英国に就て』(ちくま文庫


 最近はもう考えることもなくなったが、以前は大学に入り直すことをよく空想した。何を学ぼうか。その時々の関心に従って、それは哲学であり、仏教であり、フランス文学であった。今その妄想の続きに耽るとしたら、経済を学ぼうとするだろうか。
 いや、今ならば英文学に身を投じるかもしれない。生まれて初めて感じた傾きである。イギリス人の書く英語が好きだ。斜に構えたユーモアが堪らなく好きだ。私の中では英語とフランス語は互いに補完しあう関係を結んでいるが、上質な英語を読む悦びは今やフランス語のそれを凌ぐこともあると思うようになっている。
 実は吉田健一の文章を読んだことがない。先ずは比較的読みやすそうな『英国に就て』を購入してみる。面白ければさらに別の英国ものに進むことにしよう。