子どもの頃の遊びを除けば、将棋を指したことはほとんどない。戦法も囲いも知らないから、勝った記憶など全くない。
今もそのレベルから進歩はしていない。しかし、駒の動かし方さえ知っていれば、詰将棋はできる。玉に逃げられては困るところを把握し、駒の利きを通すことさえ考えていれば、けっこう解ける。初心者にとっては、5手詰くらいがちょうどよい。簡単すぎもせず、難しすぎもしない。
詰将棋はふつう盤の右上しか使わない。時には、実際にはあり得ないパズルのような形をしていることもある。
しかし、この本は実戦の形に即して、玉の位置も右上に限らず、真ん中にいたり、左上にいたりする。実際に終盤を指しているような気分で楽しめることを目指しているのだ。
こんな風に実戦を意識した詰将棋を解いていると、どうしても戦法や囲いのことも知りたくなってくる。やはり再開するべきではなかったのだと思うが、もう遅い。飽きるまで、一通り勉強してみなくては気が済まないだろう。
数年前にちょっとばかりチェスに入門した。
駒の数は少ないし、一度盤上から去った駒が再び盤に戻ることはないから、簡単そうではあるが、チェスにも定跡というものがあって、それを覚えるのが面倒臭くてやめてしまった。
将棋もそういう壁にぶち当たるかもしれない。しかし、昔から馴染みのある駒であるから、チェスよりは進歩しそうな気がする。学ぶためのツールも豊富だし、どのようなレベルであっても楽しむための環境は整っているだろう。