本の覚書

本と語学のはなし

【セネカ】君にはどんな罪があって【書簡7】

tu quid meruisti miser, ut hoc spectes ? (7.5)

君にはどんな罪があって、可哀想にも、こんな見世物を見物しなければならないのか。(p.20)

 セネカの書簡7を読了する。群衆を避けるべきことが説かれる。
 ローマの爛熟期には、見物することが刑罰であるのではないかとさえ思いたくなるような見世物が行われていた。野獣と人間が戦うだけではない。人と人とが殺し合う。身を守るものを何もまとわず、攻撃を受ければ必ず傷つくような戦いを戦い、「すでに殺した人間はこれから殺す人間に立ち向か」い、やがて「試合場から人影が消えた」。
 見世物が休憩に入ると、人々は言う。「このあいだに人の首を掻き切ろう。なにもないのはよくないから」。