- 作者:Nietzsche, Friedrich Wilhelm
- 発売日: 1999/06/01
- メディア: ペーパーバック
- 作者:ニーチェ
- 発売日: 1970/04/16
- メディア: 文庫
— Aber der Kampf gegen Plato, oder, um es verständlicher und für’s „Volk“ zu sagen, der Kampf gegen den christlich-kirchlichen Druck von Jahrtausenden — denn Christenthum ist Platonismus für’s „Volk“ — hat in Europa eine prachtvolle Spannung des Geistes geschaffen, wie sie auf Erden noch nicht da war: mit einem so gespannten Bogen kann man nunmehr nach den fernsten Zielen schiessen. (p.12-13)
――しかしプラトーンに対する戦いは、或いは、これをもっと分かり易く、かつ「大衆」向きに言えば、幾千年に及ぶキリスト教的・教会的圧迫に対する戦いは――キリスト教は「大衆」向きのプラトーン主義だから――、ヨーロッパにおいて、かつて地上に現存しなかったような華麗な精神の緊張を創り出した。これほど張り切った弓をもってすれば、いまや最も遙かな標的をも射当てることができる。(p.9)
まだ英語での専門をチェスタトンに決めたわけではないが、フランスのフローベール、ドイツのニーチェ、イギリスのチェスタトンというのは、けっこういい組み合わせではないだろうか。それぞれ異なる仕方ではあるが、それぞれ真剣にキリスト教と向き合った人たちである。
アンチクリストのニーチェすらもが、否、アンチクリストであるが故にこそ、これと精神の緊張をもって対峙することで、より遠く高く飛翔できると考えたのである。
なお、「いまや最も遙かな標的をも射当てることができる」は誤訳である。
ニーチェは、狙いを定めて射ることができると言っているのであって、射当てるとまでは言っていない。
哲学畑の人が訳すニーチェには警戒が必要である。己の理解するニーチェ像に引きずられて、文法を無視した曲芸を行うことが少なくない。これはまだましな方であるが。