本の覚書

本と語学のはなし

ヨルダン・シリア 聖書の旅/牛山剛、写真・横山匡

 聖書の舞台は現在のイスラエル領内に限られるわけではない。新約ではキリストの民はトルコから地中海方面へと進出していくし、パウロ目から鱗が落ちたのは今のシリアであったし、旧約時代、ヨセフはエジプトに売られてかの地で地位を得たのだし、かの地で増えたヘブライの民がモーセに率いられて到達したのは今のヨルダンであって、モーセの死後彼らはヨルダン側からヨルダン川を渡ってイスラエルの地に侵入したのである。
 だが、なかなかそれらの地を観光できるものではない。仮にお金と時間があったとしても、殊にシリアやヨルダンなどはほとんど素人の行ける所ではないし、今のシリアは危険すぎるだろう。
 そんなわけで、我々にとっては貴重な写真と紀行文である。ただし、旅の臨場感がじかに伝わってくるという点では、前に読んだ『トルコ・ギリシア パウロの旅』の方がはるかに優れているようだ。


 古本で買ったらヨルダンの入国審査カードが挟まっていた。ペトラ遺跡のところに緑の蛍光ペンで線が引いてあったので、実際に見に行ったのかもしれない。
 名前を検索すると、昨年亡くなった偉い牧師の方であった。聖書を学ぶ学校の学院長をする傍ら(もしくはその仕事の一環として)、聖書の世界に幾度も実際に旅していたようだ。

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