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一人で始める短歌入門/枡野浩一

一人で始める短歌入門 (ちくま文庫)

一人で始める短歌入門 (ちくま文庫)

▼歌壇からはほぼ無視されているという枡野浩一の、最初に読む短歌入門。
CHINTAI広告キャンペーン「いい部屋みつかっ短歌」コンテストの応募作品から100首を選び、右ページに短歌、左ページに枡野の解説のようなエッセーのようなものを配している。
▼時々作歌方法に言及することもあるけど、そういうことを期待して読むと肩透かしを喰わされる。たぶん短歌に対する既成概念を壊すことがマスノ流短歌の最初の入門であるのだろう。


▼マスノ流短歌のルール。

  • くまで五七五七七ならば短歌です。
  • つもの言葉づかいで詠みましょう。
  • そをついてでも面白くしましょう。

▼五七五七七を崩す時はよくよく考えて、それでなくてはならない時にのみ限るべき。
▼いつもの言葉づかいについてはけっこうストイックであるようで、否定の「ぬ」にさえ古臭いと否定的。私は長らく散文で古臭く書いてきたから、マスノ流に入門するなら一度それを全部解体してしまわなくてはならない。
▼ふつうの出来事を面白く詠む。そのためにはうそも上手に使うべきである。
▼必要な箇所には一マスのスペースを入れるべきだが、記号類は推奨しない。


▼結局どうすればうまく短歌を詠めるのか。それはよく分からない。うまい人は最初からうまい。へたな人はいくらやってもへたである。その通りではあるだろうけど、ちょっと身も蓋もない。


▼私には短歌を詩と呼んでよいのかどうか分からない。思いついた歌を1首。

天高く昇る鼾の同僚よ 呼吸ひとつが弐円くらいか

▼このところ短歌尽くしで疲れたが、あと1冊残ってる。次は穂村弘『短歌という爆弾』。